
LGBT center
1946年に設立!!世界で1番古いオランダのLGBT団体COCを訪問!
オランダは、2001年に初めて同性婚が認められた国として知られている。
16年前の2001年に同性婚の実現を果たし、「オランダで同性婚ができなかった時代が本当にあったんですか」と驚く若者を少なくない。合法ドラック、安楽死、娼婦、日本では犯罪になってしまうことにも受容している、ごちゃまぜの国オランダ。
LGBTに対する差別もすっかりなくなっているような印象を持つ人も多いかもしれないが、実際はそうではない。
そんな、オランダのLGBTの現状を知るべく、世界で1番古くからある、オランダのLGBT団体、COC Netherlandsを訪問した。
COC Netherlands(シーオーシー・ネザーランド)は、1946年に設立された、世界で1番古いLGBT団体。
首都アムステルダムを中心に国内20組織をまとめる連合組合だ。約1000人の会員からなり、約100人のボランティアが参加している。設立当初は、カルチャー&フリータイムセンターという名称で主にゲイ男性が密かに集まるコミュニティとして今の形に発展した。
主な活動として、性的指向と性自認を犯罪ではなくする活動、オランダをはじめ世界中のLGBTの平等な権利、解放、社会的受容に向けて、政府や社会への働きかけを行っている。ロビー活動に力を入れているのも有名で、COCの存在なくして、同性婚は成立しなかったと言われるくらい積極的に活動を続けている。
国際プログラムマネージャーとして活躍するBram Langen(ブラム・ランゲン)氏に活動内容についてお話を伺った。
同性婚成立後も続く同性愛嫌悪(ホモフォビア)
「街を歩いていただいて、感じられたかもしれませんが、アムステルダムは、LGBTの人たちにとって、とても住みやすい街の1つだと言うことができます。
なぜなら、オランダは、トルコ、モロッコ、他の諸国から多くの移民や難民を受け入れています。違うのが当たり前の前提なので、その点では、マイノリティ(少数者)であるLGBTにとって住みやすいと言えるかもしれません。
一方で、多様な人種がいることで、クリスチャンやムスリムなどの宗教も文化的背景が複雑に絡み合い、それが逆にLGBT嫌悪につながる原因にもなっています。」
具体的には、教育現場でどんな取組みをしているのか?
主に、LGBTQ当事者の子どもが安心して過ごせるような活動に力をいれている。
全国各地の学校で、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアル、トランスジェンダー、など性的少数者の学生と、ストレートの学生が一緒に同性愛嫌悪(ホモフォビア)に反対する、「ゲイ・ストレート・アライアンス(GSA)」を作ることを支援。
LGBTQへの支援を表明し、嫌悪と立ち向かう、パープルフライデーがある。
オランダでは正式な差別禁止法や同性婚があるのにも関わらず、人々の社会的な態度の変化や、若いLGBTQの人生の質を向上させる為には、まだまだ多くの課題が残っている。
紫の衣服を身につけ登校する、Web上で#Purple Heroのタグをつけて、発信することで、幅広いLGBTQコミュニティーのサポートを表明することができる。言葉かけ一つを分かち合うだけで救われる命がある。積極的に#Purple Heroになるように呼びかけている。
Purple Friday 2015 (Photo: @GSAnetwerk/Twitter). Purple Friday 2015 (Photo: @GSAnetwerk/Twitter)
差別は、若いLGBTQのメンタルヘルスに悪影響を及ぼしている
オランダのLGBT若者の調査では、75%の若者が性的指向、性自認によるいじめを受けた経験があると回答している。さらに、自殺率はストレートの5倍。
トランスジェンダーの42%が差別をうけた経験がある。(COC調べ)
自分の性自認への混乱、社会に適合できないことからくる、落ち込みや不安障害などが自殺につながってしまうことも少なくない。
企業、警察等のコミュニティでの支援
差別禁止法が制定されている為、各企業でのLGBT相談窓口も着実に増え続けており、LGBTQサポートの動きは、警察にも広がっている。
警察の中に、LGBTに特化した犯罪に対応する「ピンク イン ブルー」のチームがある。
これは、LGBTQ当事者の警察官のチームだ。ゲイを象徴する色、ピンクと、警察の制服色、ブルーから名付けられた。
主に、LGBTQに対してのトラブルや犯罪に対応しており、当事者同士で安心して話をすることができる。外見から被害に遭いやすいトランス女性からもセクシュアリティや立場を理解した上で話を聞いてくれると好評だ。
COCが、今後取り組んでいきたいこと
パスポートに性別の表記をなくす、平等の権利(性別・宗教・政治・仕事)、
健康への権利(精神的、肉体的、HIVなど)、インターセックスのコミュニティ、ロビー活動などの課題に向けての準備を整えている。
LGBTをはじめとする性的少数者が可視化されることによって、課題も明確になり、一方で同性愛が禁止されているイスラム教徒などによる襲撃事件などもおこるようになってきている。
このような困難とも向き合い、誰もが自分らしく生きられる世の中を目指して戦っている。
社会や人が変わるには、時間が必要だ。
日本でも、1人1人がLGBTへできることを意識して行動することで、LGBTや他のマイノリティの人にとって住みやすい場所になればと感じた。