2017 09 13

FRANCE

Ally


フランス、パリ在住の22人にLGBTQについてアンケートしてみた


フランス婚という言葉を聞いたことがあるだろうか?これは、結婚を前提としないパートナーシップ制度のことである。正式にはPACS(パックス)と呼ばれていて、国から法的な社会保障を受けながら、結婚よりもお互いに関する責任が少なく、片方の意思だけで契約を解消することができる。これまで20代の若いカップルだけでなく、多くの同性カップルもこの制度を活用してきた。

 

フランスでは2013年に同性婚が認められた。世界的にSEXの平均回数も多いとされ、子どもは赤ちゃんの頃から1人で寝かせるくらい寝室や夫婦の時間を大切にしているフランス。そんな性に寛容な印象のフランスだが、同性婚成立前には賛成派と反対派に分かれ、デモでは激しいぶつかり合いを繰り返してきた。

 

では、実際のフランス、パリの人は、LGBTQに対してどのように感じているのか?今日は、フランス、パリで15組(22人)にアンケートした結果をシェアしたいと思う。

 

 

【アンケートについて】

日時:2017年6月23日(土)9時〜13時

場所:Centre LGBT前、マレ地区(ゲイフレンドリー)の2カ所で実施)

対象:街頭で出会った方15組(22名)

年齢:20代〜60代
アメリカ人2名、ドイツ人1名、フランス19名 

 

 

質問1 LGBTQを聞いたことがあるか?  

知っている 21名  知らない 1名

 

「常に議論されている」

「メディアや日常で聞く機会が多く、いつ知ったのかも覚えていない」

「シアンスポ政治学院在学中にLGBT週間で学んだ。LGBTの学生団体が学校側に交渉して、議論交流ができるクラスが実行された。その時に知った。」

「パリジャンだから、常に知っている。友達にも親しい人にもたくさんいる。」

 

 

 

質問2 同性婚についてどう思うか?どうしてそう思うか?

賛成15名  反対3名  どちらでもない2名  無回答1名

 

賛成:

「みんなに権利があるから反対しない。問題はない。」

「もちろん、賛成。同性婚は、その人たちが選ぶことだから。誰を好きになるのかは、その人の自由だ。」

「人は、他の人々と平等に生きられるから良いと思う。ゲイの養子縁組も良いと思う。異性(ヘテロ)カップルで酷い環境で育つ人もいる。同性愛者の家族だからといって問題はない。それよりも、その家族がどんな家族なのか?の方が大切。」

「姪がレズビアン。今は、何も思わない。最初は驚いた。そうは思っていなかったから。姪自身は、祖父母と問題があったが、6ヶ月くらいたったころ、いいじゃないとなった。」

「トレビアン。みんな権利があるから、いいじゃないか。家族にゲイがいる。別にいいと思う。問題と思っていない。カミングアウトされた時もマレ地区(ゲイエリア)で活動しているから、認知しているし問題ない。」

「(ゲイ当事者)結婚はシンボル。結婚が認められたのは、時代や変化のシンボル。結婚の法律の制定は大きい。結婚やPacksは個人で選べばいい。」

 

 

どちらでもない:

「賛成ではないけど、反対はしない。」

「反対せずに見守っている(家族が当事者)」

 

反対:

「男は男。女は女。違う身体と役割を与えられている。LGBTQの概念は受け入れがたい。」

「自由は尊重するけど、同性愛は子どもによくない。」

「同性愛者で子どもを持った場合に、男性と男性、女性と女性の同性カップルは、異性の両親を持たない。私は、子どもを持つ為に女性と結婚した。

同性カップルを認めてしまうと、子どもを産めないのに子どもを持つことは、人身売買に近いように感じる。ペットのようにかって自分の子どもだというのは、人としての責任を果たしていないように感じる。」

 

 

 

3、家族にLGBTQがいて、カミングアウトを受けたら、どう感じるか?また、どのように接するか?

 

「もしそうだったら、むしろ自分の家族だから、積極的にサポートする」

「娘が1人いる。嬉しくはないけど、娘が言ったら自分にとっては不都合ではないし、自分を妨げるものではない」

「家族からのカミングアウト、マルタ島の出身。日本より厳格でカミングアウトをしたら、問題になるかもしれない。」

「家族にいても問題はない。自分は、ゲイだ。家族は驚いていたけど、自分が喜んでいたから家族は特に何も言わなかった。会社ではプライベートなことは聞いてこない。人間として働いている。言わなくてもいいから問題ない」

 

 

 

 

日本のLGBTへのメッセージ

「カミングアウトや自分自身を知られる事は怖いと思う事もあるけど、世界に限界はない。大丈夫。」

「辛いことはあるけど、戦い続けないといけない。パリは、ゲイの街だからいいけど、地方にいくと差別がたくさんありなかなか理解されない。大変なこともたくさんあると思うけど挑み続けなければいけない。」

「日本のLGBTの活動を支援する。戦わないといけない。なぜなら、フランスはずっと戦ってきた。パレードでは問題が起きるかもしれない。誰かが血を流すのかもしれない。大切なのは法律に組み込む事。に自由と法律は常に微妙な関係性がある。フランスもまだ、万全ではない。今も戦っている。」

「団結をしなければならない。マレ地区も20年前は差別されていたし、当時は虹を掲げられなかった。ちょっとずつ団結し、みんなで力を合わせて認知されて少しずつ拓けていった。」

「1つだけ言いたい事がある。LGBT活動が行き過ぎるのは、よくない。マレ地区で土曜日の昼間に散歩している時に、極端に全身革張りで、チェーンを持って、人に首輪をつけて歩いている人をみた。見るもの不快でショックだ。まわりの人もよくは思わない。基本的には宗教や思想や生き方も自由だから尊重する。ただ、節度ある行動を心がけて欲しい。」

 

 

パリのLGBT取材の通訳兼コーディネーターとしてプロジェクトをサポートしてくれた、前田儒郎さんもアンケートに答えてくれた。

フランスでできた友達がきっかけで、LGBTを知った。特になにも思わなかった。現在は、フードビジネスを中心とした日系企業のフランス進出コンサルタントとして活動をしているが、「食べる行為」と「性行為」が近しいものだと感じている。いろんなものを食べていいし、いろんな性欲があっていい。


同性婚については、キリスト教の国では、重々しいもの。子どもを持つことを考えた時に、同性婚にはあまり賛成はできない。突然変異が起こってしまうのではないかという不安や、人間の動物としての道理はどうなるのか?と考えてしまう。

 

親になった時に、子どもからカミングアウトされたら、嬉しいかもしれない。自分の子どもにはできるだけマイノリティになって欲しくない。私自身、韓国と日本とのハーフとして生まれて、マイノリティとして辛い経験があった。だからこそ、いろんなことに負けずに頑張ろうと本気でフランス語を学び、今、ここで生活をしている。相反するかもしれないが、子どもが自分で生きる道を決めたのであれば、いろんな環境に順応できる人になるチャンスかもしれない。それはそれで、かっこいいし、頑張って欲しいと思う。

 

日本は、ヨーロッパの既存のシステムをそのまま導入しようとして摩擦が起きる。例えば、フランス料理を日本に持ってくる。米をフォークで食べようとしてもうまくいかない。ただの真似をするのではなく、良いところを取り入れながら、日本に合ったシステムにしていく。そうしないと、変わるものも変わっていかない。

 

 

【アンケートをして感じたこと】

LGBTQヘの認知度について

パリでは、9割がLGBTQについて、何らかの知識があった。

理由は、日常生活(雑誌やテレビなどのメディア)で知った、大学でLGBT週間があり学んだ、常に議論されている。また、インタビューを実施したCentre LGBTの前を通ったことはあるからなどの意見が多かった。中でも興味深かったのは、親しい友達や家族にもいると答えた人が7名いたことだ。

教育やいろんな媒体からLGBTQヘの認知度や理解が進み、当事者がカミングアウトをしやすい環境がより整っているのかもしれないと感じた。

 

 

同性婚への意見について

同性婚に対して、賛成6割前後、それ以外3割前後。

2015年に日本で行われた同性婚についてのアンケートによると賛成は51%(国立社会保障・人口問題研究調べ)50代以上でも同性婚に対して、ポジティブな意見が多く、日本のように世代間での意識の違いは、あまり感じられなかった。

 

キーワードとして出てきた言葉は、

「権利」「個人の自由」そして、「平等」

 

こうあるべき私と、本当の私。

求められていることではなく、私がどう感じて何をしたいのか。

 

つまり、世間一般の常識ではなく、個人の権利

 

反対する人は、異性愛を前提とした社会が崩れ去り、少子化が進むのではないかと危惧しているようにも感じられた。では、実際にフランスの出生率はどうなっているのだろうか?同性婚が成立した2014年には1.99だったのが、2016年には2.01とむしろ増えている。(WORLD BANK Dateから引用)

 

北欧の同性婚可能国でも出生率は増えており、同性婚との関係性よりも、女性が出産しやすい環境を整えることの方が大きな課題なのかもしれない。また、少子化が進む不安を全面に出しながらも、本当に心配していることは、異性愛を前提として成り立ってきた社会に対して、このLGBTQというよくわからない存在に対して恐れかもしれないと感じたのは気のせいだろうか?

 ヨーロッパは、日本やアジア諸国に比べて、家制度や世間体やこうあるべきという無言の圧力がなく、より平等と個人の自由と責任に任せる雰囲気が感じられた。

 

 

家族からのカミングアウトについて

「何の迷いもなく積極的にサポートする。」

こう胸を張って言い切れる潔さは、なんだろう。

 

日本では、会社の同僚は寛容に受け入れられても、家族を受け入れるのには抵抗があることが多い。

以前、当事者の親が集まる団体に参加したことがある。
我が子に告白されたことを涙ながらに語る方が多く、受け入れるまで2年〜5年かかった、まだ、受け入れられない方も多くいた。自身のことを伝えるのも勇気がいるが、カミングアウトを受ける側も心の準備は必要。

 この違いも、LGBTQヘの知識不足や、日本の家文化から親自身が子どもを自己同一化し、自分自身へ評価として受け取ってしまうことから来ているような気がしてならない。

 

1人でも「あなたは、あなただよ」と気持ちに寄り添ってくれる人がいるだけで、私の視界は、180度変わった。
世界が実は優しい場所だったのだと気づいた。こんな私でも生きていてもいいのだと思えた。

 

「そのままのあなたでいいよ。君は、可能性に溢れている。どんなあなたも愛しているし、サポートを惜しまない。いつも応援しているよ。」

 

誰かのカミングアウトを受けた時に、心からそう思って寄り添える人が1人でも増えればいいなと思う。

 

【まとめ】

日本でのLGBTに対しての活動は、まだまだ始まったばかり。

進学・就職、いじめ、貧困、社会保障。

これから、性的マイノリティへの課題が可視化されていくことで、戦う場面もでてくるかもしれない。
同性婚、差別禁止法などの社会保障の法整備や当事者が生きづらい=カミングアウトしづらい社会の中で、安心して生活ができる土台を作ること。そのためには、まずは、非当事者が性的少数者についての正しい知識を知ることが大切。

社会的弱者ではなく、自由と責任、平等である権利を持つ立場として、広く認知されていくように、目の前のこととひとつひとつ丁寧に積み上げながら活動していくことが必要だと感じた。